活動の歩み

送迎活動をはじめて20 

 私たちNPO法人 友の会たすけあい」は、一人では外出が困難な高齢者や障害者をボランティアのマイカーで、自宅の玄関先から病院などへの送迎サービス活動をはじめて20年になります。送迎人数は延べ5万人を超えました。

 

「バス停まで2~300mですが、そこまで歩くのもつらく、大変助かっています・・・・」、「病院へ行くたびタクシーを使うのは、年金生活者にはとても無理なので有難い・・・」。

 利用される方に少しでも喜ばれることを励みに、現在は送迎活動にとどまらず、必要に応じて病院内での車いす同行や買い物などでの同行介助も行っています。

 

送迎サービスの仕組み

送迎サービスの利用者(利用会員)も送迎するボランティア(協力会員)も、入会金と年会費を納めて運営を支えます。  

利用会員には、利用日の2日前迄に、送迎日時、行き先、復路の条件(運転者に待機してもらうか、連絡して迎えに来てもらうか)介助の必要性などを事務局に電話で予約 していただきます。

 利用料金は送迎終了時に、車の走行距離に応じ低廉な料金を利用チケットで支払っていただきます。

 万が一事故に備えて全国社会福祉協議会(全国社協)の「送迎サービス補償」、「ボランティア保険」にも加入しています。

 利用会員はつくば市在住者で、その約8割の方が75歳以上の高齢者。ほとんどの方が要支援、要介護認定者あるいは障害者手帳の所持者などで、いわゆる「移動困難者」と呼ばれる方々です。

 送迎先は、病院などの医療施設が8割以上ですが、市役所、銀行、郵便局、スーパーや商店、美容室、JRの駅など、日常生活に不可欠な移動に利用されています。また送迎地域は、つくば市内が6割近くを占めていますが、隣接する牛久、土浦、取手、龍ヶ崎市内も4割近くあります。 

 

●私たちの活動拠点

 つくば市茎崎高齢者交流センター内の一隅が、私たちの活動拠点(事務局)送迎受付センターでもあります。

 協力会員(ボランティア)の多くが福祉関連の有資格者であり、また全員が国土交通省認定の移動サービス運転者認定研修の修了者です。

 送迎活動は、正月3が日を除く毎日。運転が可能な限り依頼に応じます。  

 

会発足の動機と背景

 「友の会たすけあい」が誕生したのは1997年7月。

 当面の活動資金として発起人の10名が2万円ずつを出し合い、現在の活動の基礎となる会則などを決め、役員を選出。会長となった叶滋氏(2012年逝去)の自宅を仮事務所として翌8月から活動を開始しました。 

 叶氏は昭和62年、早期退職して東京から旧・茎崎町の富士見台(現・つくば市富士見台)に移ってきました。牛久沼を望むこの地区は、茎崎町でも最後に開発された分譲住宅団地です。

 茎崎町は、研究学園都市の本格的な整備にとりかかる昭和45年頃は人口6,500人ほどの静かな農村地域でした。常磐線のJR牛久駅から東京まで約1時間。首都圏でも手頃な値段の戸建住宅地だったからでしょうか。当初は牛久駅から比較的近い高見原地区に住宅が増加。やがて駅から10~20分の調整区域内に、城山、梅が丘、桜ヶ丘、宝陽台と大規模団地が次々と開発され、昭和53年には「人口急増日本一の村」と喧伝されるほど。さらに、戸数1,300戸の森の里をはじめ、自由ヶ丘、あしび野、そして富士見台と入居が開始され、人口2万人を超えるベッドタウンを形作るに至ったのです。

 

 茎崎町に住み始めて4年、民生委員を務めていた叶氏(初代会長)は、当時発足したばかりの老人会の会長に推されました。そこで知ったのは、自動車を運転しない高齢者が交通の便の悪さにいかに難儀しているかということ(自宅からバス停やスーパーまで徒歩20分もかかる!)。そこで叶氏は、老人会のメンバーを自分の車を使って病院まで無償で送迎し始めたのです。

 こうした活動を知った茎崎身体障害者福祉協議会(現・つくば市身体障害者福祉協議会)

の会長(当時)新田進氏は、「身体障害者の送迎もできないか」と叶氏に相談。二人は、すでに送迎活動に取り組んでいる団体を調べたり、損害保険、共済保険の比較検討などの準備を重ねました。

 ボランティアとはいえ、他人を車に乗せる責任の重大さと同時に、車の整備やガソリン代などの実質的な出費を考慮して、無償ではなく有償の活動として行うこととし平成9年、茨城県下では最初の自家用車による送迎ボランティア団体の設立に漕ぎ着けたのでした。

 

  当時の茎崎町の高齢化率は10.9%。県内でも比較的若い人口構成です。しかし、45歳以上の人口が45%強、出生率の低下とも相まって、20年後には半数が高齢者の町になりかねない。都市近郊のスプロール開発された街の例にもれず、ここでも車がなければ生活が出来ない構造になっており、公共交通もマイカーの使用に押されて衰退していくという悪循環。地縁血縁のない核家族の団地住民が、将来、高齢者夫婦のいずれも自動車の運転ができない状況になれば、生活自体が大幅に制約されるのは必然です。

 

 都市近郊の新興住宅地に共通した危機感を反映して、平成10年(1998年)4月に「移動サービス市民活動全国ネットワーク」が発足、当会も10月には団体会員として加盟しました。

  当時、道路運送法では、自家用自動車の有償運送は禁止されていましたが、同年成立した「特定非営利活動促進法(NPO法)」も活動の広がりを後押しして、国土交通省も自家用車による送迎活動を看過できず、やがて「自家用自動車有償旅客運送」として公認するに至るのです。

 そして私たちに続いて、近隣自治体でも相次いで有償による送迎ボランティア団体が設立されました。

 

活動の公的認知と進展

 設立以来、毎年20名近くの協力会員(ボランティア)が活動しています。

 路線バスの一部区間廃止もあり、移送サービス活動の重要性を認めた町は、平成12年から会に事務局スペースを提供してくれ、さらに運営補助金も助成するようになりました。

 平成10年に1,000回程度だった移送回数も平成22年には約3,000回と着実に増えてきました。また、茎崎高齢者交流センターで毎年開かれる「くきざきふれあいまつり」での無料送迎も続けられています。2年前には、利用者の方の一人から多額の寄付もいただき、スタッフ一同、大感激でした。

 

 しかし、平成14年にはつくば市と茎崎町の合併により、活動地域が拡がったものの、翌15年から財政難を理由に市からは補助金を打ち切られ、料金の値上げという苦渋の選択と、運営経費の削減によって活動の継続が図られました。

 また、国土交通省が示した「福祉有償運送」のガイドラインに沿うべく、平成17年にはNPO法人の認証を得て翌18年には福祉有償運送事業許可を取得。現在、公認の自家用自動車運送活動団体として地域の高齢者や障害者の「足代わり」となり、地域に根ざした送迎活動を行っています。

 

   ※公益財団法人あしたの日本を創る会の2011年度あしたのまち・くらし活動賞

           「振興奨励賞」報告書より転載。一部加筆・修正                                       

 

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